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やなせたかし氏、そして吉田戦車氏に学ぶ、働くことの対価ということ  このエントリーをはてなブックマークに追加

今日は少し腹立だしい記事について語ります。

○やなせたかしの晩年は「タダ働きばかり」「甘えてきた多くの自治体は恥じろ」と吉田戦車が激怒
http://topics.jp.msn.com/entertainment/tv/article.aspx?articleid=2130571

この記事内では、やなせ氏の仕事についてこのように書かれています。

漫画家の吉田戦車さん(50)が、94歳で亡くなったやなせたかしさんの仕事ぶりについて、ツイッターで地方自治体などにかみついた。やなせさんは晩年、キャラクターデザインを無償で引き受けていて、「タダ働き」に甘えてきた多くの自治体や組織は「恥じろ」と書いたため、ネットで賛否の議論に発展している。
やなせさんは高知県などにキャラクターを計200以上も提供してきたとされるが、その多くは無償だったという。


クリエイティブな仕事や、IT系の仕事など、仕事の結果が「目で見える形」にならない仕事は、「無償でしてもらっても良い」という風潮がこの日本ではあるようです。

本ブログを書いているあきも、IT系の会社に勤めているせいか、パソコンに関する無償の作業を今まで数多く依頼されてきました。
その仕事内容を、超一流のやなせ氏と同等とみなして良いかという議論はともかく、無償でしてきた作業に対する受益者の反応は、「表面上ありがたがるが、実際の報酬は払わない」という行動で一貫しています。

あのですね、「目で見える形」があるもの以外は無償でもよいという風潮は、どう考えてもおかしいでしょ?
技術者が技術を身につける過程において、どれだけの労力を払っているのか知っていますか?
一朝一夕で身につけたものじゃないんですよ?

吉田戦車氏も書いていますが、

スーパーが豆腐屋さんに「貴社の豆腐を取り扱いたい。でも予算がないのでタダで」というのはありえないし、豆腐屋さんも「タダでもいいからお宅と取り引きしたい」と思ってタダの豆腐納品しちゃ駄目なんだがな…


なんですよ。
ありえないんです。
それが当たり前と考える人がおかしいんです。


先日見かけたこんな記事があります。

○コンピュータの修理をタダで引き受けてはならない10の理由
http://japan.zdnet.com/it-management/sp/35038255/3/

この記事は非常によい題材です。
これを参考に、私がA氏にした体験談を少し語ってみます。


~A氏はごく普通の社会人。パソコンは好きだが設定やトラブル対応などはほとんどできない素人。
ある日、新しいパソコンが欲しいというので相談にのってあげた。

モニタは家にある物が使いたい。デスクトップの本体だけの交換で良いとのこと。
そして、なるべく安価に仕上げたいというのが希望。

この、「なるべく安価」というのが鬼門で、安価なパソコンはそれなりに理由がある。

例えば、「本体のみ」となると、大手家電メーカーの民生品はほぼ全滅する。
ショップブランドかそれに毛が生えたようなメーカーの製品を買わざるを得なくなるが、えてしてこれらのパソコンは敷居が高い。
大手家電メーカー品ではうまく隠蔽されているBIOSの画面が表示されたり、何らかの理由でまれにBIOS設定画面で止まったりした日には、見たことがない画面ということだけで、中学校レベルの英語を読もうともしない彼らはパニックに陥る。
だから、私はA氏には多少高価でもメーカー品がよいと強く勧めたが、ショップブランドの製品を買うことになってしまった。

ここで、紹介記事の”#1:手助け以降に発生した問題はすべてあなたのミスになる” が、発生することになる。

なんと、買ってきたパソコンが、初期不良で正常動作しなかった。
本人は急いでいたらしく、すぐ使えないと困るとのこと。
それでなくてもショップブランドは対応が遅いことが多く、結局不良交換に2週間程度かかってしまった。
A氏は言った。「何でこんなに修理に時間がかかるの?すぐに使いたいのに」
当然、悪者は私。なぜ悪者?


新しいパソコンが届いて急いで設定をして欲しいと連絡があった。
会社帰りにしぶしぶA氏の自宅まで赴き、Wi-Fiや各種ソフトの設定をしてあげた。
残業続きの私にこの仕打ちは、まさに”#2:あなたの時間が尊重されないこともある”の好例だった。
他人のパソコンの設定をしている暇があったら、家でくつろいで寝たかった。

そして、さらに追い打ちがあった。
”#3:さらなる問題を引き起こす可能性もある”である。

数日経って、違うパソコンの起動が異常に遅いと連絡があった。
しかたがないので、またA氏宅に行った。
A氏がフリーソフトをインストールした際に、バイドゥIMEがいつの間にかインストールされたらしい。
IMEをアンインストールして、さらに、他の起動を遅くするアプリをいくつか消した上で、スタートアップを整理した。あわせて、レジストリからいくつか起動項目を削除した結果、パソコン自体が起動しなくなった。
どうやら、レジストリをいじっている際に、システムに近い起動項目を誤って消してしまったらしい。

結局、パソコンを預かって夜な夜な再インストールする羽目になってしまった。
昼間の作業と同じことを家に帰ってからも求められる。
まさにこれだ→”#10:コンピュータの修理はあまりにも仕事に似通っている”

そこで感じたのがこれ、”#4:人は無償のものに価値を見出さない”と、”#6:人は無償のITサポートが得られると、危険な行為に走りがちとなる”である。
無償で行ったこれらの好意は、A氏には価値を見いだしてもらえなかった。そして、私の言うことを聞かなかった。
またバイドゥIMEをインストールして、同じ結末を繰り返した。

その後は、推して知るべく、めでたく”#5:無償のITサポートを今後もずっと期待する”となった。
度々電話がかかってきて、あれもやってくれ、これもやってくれと「指示」が来るようになった。


幸い、A氏については、”#7:コンピュータ関係の手助けだけでは済まなくなる”と、”#8:雪だるま式に範囲が広がっていく”はなかったが、他者で似たような経験はある。
パソコンとは無縁の、HDDレコーダーの設定を依頼されたこともある。

当然A氏の自宅に行くには、交通費がかかる。
”#9:あなたのサービスは無償ではなく、あなた自身のお金が出て行っている”
このお金は自腹だ。


私の顛末はここまでです。

私は上記のような体験を繰り返した結果、依頼された作業は、有償のサポート会社に依頼するよう進言することにしました。
まっとうな報酬がどんなに高いのか、依頼者たちは身にしみて感じていることでしょう。

一流のクリエイターや技術者は、決してタダや妥当でない報酬で仕事をしてはいけません。
それは、同様な被害者を増やさない為にも。

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( 2013/10/19 00:20 ) Category 仕事 | TB(0) | CM(0)
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